「日光(紫外線)は皮膚がんの原因になるのでは?」と思われている方も多いのではないでしょうか?
紫外線の浴びすぎは健康を害する恐れもありますが、適度な日光浴には健康を促進する良い効果がたくさんあります。
日光浴はビタミンDの合成により骨を強くするほかに、近年では免疫機能向上や病気予防まで様々な効果があることがわかってきています。
本記事では日光を浴びるメリットとビタミンDの働き、効果的な日光浴の方法について解説していきます。
ぜひ、皆さんの健康促進にお役立てください。
日光浴のメリット
1.ストレスの軽減
日光を浴びると、「セロトニン」の分泌量が増加します。
幸せホルモンとも呼ばれているセロトニンは、感情を穏やかにし、精神の安定にとても重要な役割を果たしています。セロトニンはストレスを軽減させ、うつ病などの精神疾患の予防にも欠かせません。
2.睡眠の質向上
日光を浴びることは、体内時計(概日リズム)の調節にも大きく影響します。体内時計のバランスが崩れると不眠や日中の眠気、消化不良、精神不安定を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
また、日光浴は睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」の分泌を促進するため、睡眠の質の向上にも役立っています。
3.ビタミンDの生産
人間は日光を浴びることで、皮膚上でビタミンDを作り出すことができます。
ビタミンDの主な働きは、カルシウムの代謝調整です。ビタミンDは脂溶性で、食事から摂る場合は脂質と一緒に摂取すると効率よく吸収されます。
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、1日のビタミンDの摂取基準量は、18歳以上の男女であれば8.5マイクログラムが目安とされています。
厚生労働省が発表している令和元年の国民健康・栄養調査では、日本人のビタミンDの摂取平均量は6.9マイクログラムであることがわかっています。
さらに、東京慈恵会医科大学が2019 年 4 月から 2020 年 3 月までに行った調査では、日本人の98%がビタミンD不足に該当していたことが明らかになりました。
効果的な日光浴
日光はただ浴びれば良いというわけではありません。
日焼けによる皮膚へのダメージを防ぐために、長時間浴び続けないこともポイントとされています。
日光浴は日陰で行っても効果がありますが、ビタミンDの合成に関わるUV-Bはガラスを透過できないため、屋内の窓越しでは日光浴の効果は得られないようです(UV-Aは透過するため、屋内であっても日焼けには十分注意が必要です)。
さらに日本では、沖縄県と北海道で2倍程度の紫外線量の違いがあります。
日光浴の時間の目安は、紫外線量の多い春夏には日陰で15分程度、紫外線量が少なくなる秋冬には30分程度が効果的です。